34 波乱の予兆

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「さて、いただきましょうか」  ディアナの声にハッと我に帰りました。  テーブルの上にはいつの間にか紅茶もセッティングされています。  いつの間にかレイ様のことを考えていたわ。いけない。今日は雑念が多すぎるわ。気持ちを切り替えなくては……  目の前ではビビアン様がおいしそうにケーキを食べています。隣ではディアナが紅茶を飲んでいます。私も紅茶で口を潤してケーキに手を伸ばしました。  それぞれのケーキに舌鼓を打ちながら会話が弾んでいきます。時折起こる小さな笑い声とともに、穏やかな時間が過ぎていきます。  今まで言葉を交わすこともなかったビビアン様との出会いは新鮮で新たな交流もいいものだと思い始めていた頃、それは突然訪れました。   「そういえば……」  ケーキも一つ二つと食べ終わり、二杯目の紅茶に手を伸ばしたところでした。   「フローラ様。テンネル侯爵家の子息との婚約破棄の件はどうなりましたの?」  思いもかけなかった言葉に息をのみ、カップを持とうとした手が止まりました。 「もうすでに済んでしまったことですわ。婚約は解消になりました」  言葉が出ない私の代わりに、ディアナが少し呆れたような口調で答えてくれます。
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