34 波乱の予兆

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「そうよ。矜持というのかしら。もっと堂々とした、どんな障害にも負けない強い精神を養わなければいけなかったのではと思うのよ」   婚約解消って、そんなにいけないことだったのかしら?   エドガー様と私は政略で婚約を結んだだけでそこにお互いの愛情はなかったから、彼に愛する人ができたことにむしろホッとしたわ。  それではダメなのかしら?   愛のない結婚をするよりも愛のある結婚生活を送る方がずっと幸せだし有意義だと思うわ。  それに、学園で見かける二人は仲睦まじくて幸せそうだもの。侯爵令嬢の矜持なんて必要ないと思うのだけど。 「でも、エドガー様とリリア様は両家の公認の仲だと伺っていますから、何も心配することはないかと思われますが」 「まあ。フローラ様はお優しいのね。わたくしが言っているのはそういうことではなく、初動がまずかったのではと言っているんです」 「初動ですか?」  ビビアン様の言葉の意味が理解できなくて私は首を傾げます。意味が分かりません。  ビビアン様とやり取りをしている私の隣ではディアナがチーズケーキをおいしそうに頬ばっています。関心があるのかないのか計りかねますが、会話より意識はケーキに向いているように見えるので、こちらには興味はないのかもしれません。
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