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「そう。あの婚約破棄を言い渡された時に、婚約者の不貞をきちんと指摘して、断罪すべきだったのではと言っているのです」
「断罪?」
ビビアン様が大きく頷きました。これから説教でも始まりそうな予感。気分の高揚も手伝ってか、自信に満ち溢れ昂然とした表情が物語っています。
ちょっと、帰りたくなってきました。
先ほどまでは普通の女子トークだったはずなのに……
「だってそうでしょう? 婚約者が浮気をした挙句に婚約破棄。しかも公衆の面前で。恥をかかされたとその場で怒ってもいいくらいですわよ。あなたも侯爵家の娘なのだから堂々としてよろしいはず。一歩も引く必要はなかったわ」
「戦った方がよかったと?」
「そうよ。あの場ですんなりと婚約破棄を認めるなんて、負け犬がすることよ」
「あの……でも……」
他人から負け犬だと言われても、対応がまずかった言われても、自分としてはあの後の展開には満足しているので全然気にならないのですけれど。むしろ重い足枷がなくなって感謝しているくらいなのですけれど。
「一言言わせてもらうならば、フローラ様、あなたちょっと、みっともなかったわ」
失望したとばかりに言葉を投げつけるビビアン様に体に悪寒が走りました。
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