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「どう? 分かったかしら?」
一通り話し終えたビビアン様の顔が紅潮しています。熱弁をふるって興奮したのでしょう。
後半はほとんど聞いていませんでした。だって、話が入ってこないんですもの。
こんな不毛なやり取りは無駄なことと考えつつも反論すればややこしいことになるのではと思い、ビビアン様の意見に従えば丸く収まるだろうと考えて言葉を発した途端
「そうで……」
「ちょっと、待ってくださいませ」
ディアナの制する声が聞こえました。
ほんの少し微笑みを湛えた彼女のテーブルの上は空になったケーキ皿とマグカップ。
早いわ。
いつの間に食べてしまったのかしら。私の視線は自ずとディアナのお腹辺りにいってしまいます。ケーキと飲み物があの細いお腹に入ったのね。
すごいわ。
私なんて三個目に手を出すべきか躊躇しているというのに。
なんて、横道に逸れた感慨に耽っていると
「なんですの? 何か言いたいことでもあるのかしら?」
眉をひそめた不穏なビビアン様の声に、臆することなく言葉を紡いだのはディアナでした。
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