34 波乱の予兆

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 これは、余計な口を出すなということでしょうか。臨戦態勢に入ったかのように、ディアナの瞳が爛々と輝いています。  これは、止めることが出来ないわ。  ディアナはわたしに任せなさいとばかりに続けて話し出しました。   「それに、侯爵子息と男爵令嬢は相思相愛。よろしいのではありませんか? 身分差を考えれば釣り合わないかもしれませんが、婚姻はそれだけが全てではないでしょう」 「何を言いたいのかしら?」  ビビアン様も負けてはいません。 「つまり、両家が納得していればいいということですわね。今回の件は拗れることなくスムーズに解消に至ったのだと聞いています。そうよね? フローラ」 「ええ。そうです。何の問題もありませんでした。私もエドガー様とリリア様のことは祝福しております」  私はきっぱりと答えました。エドガー様に未練があると思われたら、たまりませんもの。   「……あっ、あ。そう。そう、なのね」  しっかりと見据えた先のビビアン様は私の圧に押されたのか、気まずさにしどろもどろになりながら口元を扇子で隠しました。
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