34 波乱の予兆

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 私はまだ会ったことはありませんが、コーヒーの他にもいくつか齎された食材などもチェスター貿易商会からでした。それが、チェント男爵家だと聞いた時には驚いたのですが、両親は取引先が一つ増えたと喜んでいたので特に気にしていませんでした。  身分差を気にする貴族はいますから一概には言えませんが、婚約解消がうまくいった背景にはそんな理由もあるのかもしれません。それを考えると私って、凄く幸運だったのかしら。 「……」  ビビアン様はなんとも微妙な顔をしています。思わぬ意見だったのでしょう。彼女を称賛して終わりかと思えばそういうことはなく、ディアナの中には見過ごしておけない確固たる気持ちがあったのかもしれません。  それが私の問題であることが申し訳ないのですけれど。  うまく説明できない私の代わりに親身になって助けてくれるディアナは、私にはもったいなくらいの親友です。 「ディアナの言うことも一理ありますわね。高位貴族に下位貴族が嫁いだりその逆も確かにありますわ。色々な事情があるのでしょうけれど」  ビビアン様も負けてない。  
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