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「そういえば、フローラ様は次の婚約者は決まりましたの?」
ケーキを食べ終えて落ち着いたのか、ビビアン様の思ってもいなかった質問にティーカップを持つ手が止まりました。声に邪気は感じられません。悪気はなかったんだと思います。ただの好奇心だったのかもしれません。
「いえ。いません。今のところ考えてもいませんわ」
正直に答えました。
「そう、やはり……」
愁いを帯びた頬に手を当てたビビアン様は、そっとため息交じりに呟きました。
やはりって、どういう意味なのでしょう?
「フローラ様は侯爵家の令嬢。いわば高位貴族の優良物件ですわ。求婚者は引く手あまた。そんな立場でしょう?」
「そんな立場だと言われても、私にはわかりません」
両親からは結婚は考えなくてもよいと言われているので、今まで忘れていたくらいです。婚約解消してからまだ数カ月。独身でもいいと思っているくらいなのですから、そのような話をされても迷惑なだけです。
「そう。でも考えた方がよいのではなくて?」
「……もう少し、時間を置いてからでも十分かと思っています」
「時間を置いてからって、随分のんびりではなくて? 結婚適齢期はすぐに過ぎてしまいますわよ」
これは、心配してくださっているのかしら?
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