34 波乱の予兆

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 「どうしたの。ぼんやりして」  ディアナの声にハッとして我に帰りました。学園で教室移動のために廊下を歩いているところでした。  ビビアン様とのお茶会から二、三日経った今でもあの言葉が心から離れなくて、時折思い出してしまうのです。 「何でもないわ。ちょっと、授業のことを考えていただけよ」 「授業って、勉強熱心ね。フローラらしいけれど、歩いている時に考え事していたらつまずいて怪我をするかもしれないわ。気をつけてね」 「ええ。そうね。気をつけるわ」  教科書とノート類を落とさないように抱え直すと愛想笑いを浮かべました。うまくごまかせたみたいでよかったわ。落ち込んだ顔をしていると余計な心配をさせてしまうわね。気をつけなくては。  あの日、ビビアン様が去った後、ぴんと張り詰めた緊張の糸がぷっつりと切れてしまったのか、涙が溢れて泣いてしまいました。  決壊した涙はしばらく止まらず、そんな私の背を撫でながらハンカチで涙を拭いてくれました。
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