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「お久しぶりね。フローラ様」
ディアナには目もくれず、目の前にやってきたビビアン様の華やかな笑顔。
背後には友人なのでしょう、三人ほど控えています。どなたも美しい方ばかり。何が起こるのか興味津々で見つめていました。
「はい。先日はごちそうしていただき、ありがとうございました」
怖気そうになりながらも声を絞り出して、なんとかお礼を述べました。声は多少震えていたかもしれません。それでも精一杯、虚勢を張りながら、笑顔も忘れずに。
「よろしいのよ。とても楽しかったわね。またご一緒したいわ。今度は皆様とどうかしら? もっと楽しくなると思うわ。もちろん、わたくしが招待いたしますわよ」
後ろに控える令嬢たちを振り返ると、とんでもないことを言いだしたビビアン様。
私はあの日のことを思い出して、サーと血の気が引いていきます。
公爵令嬢のおもてなしとなれば、全て超一流でしょうし高位貴族からの申し出ですから断る法はないのでしょう。令嬢たちは驚喜を滲ませ期待に胸を膨らませているように見えました。
恐怖に背筋が凍りました。
ガタガタと震えそうになる体を抱きしめて押さえ込み、なんとか床を踏みしめて立っていました。
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