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ビビアン様が面白そうに私の反応を窺っているのがわかります。怯える私の姿はさぞ滑稽に見えるのでしょう。
獲物をいたぶるかのような鋭さを増した目が私を捉え、勝ち誇ったように冷笑を浮かべました。
「ディアナも一緒にね。わたくしたち幼馴染ですものね」
今度はディアナに向かって話しかけたビビアン様の表情が、親しい者に向ける顔へと変わりました。
「ええ。そうでしたわね。また、是非ともご一緒したいわ」
「ディアナなら、そういってくれると思ったわ。では、ごきげんよう」
ビビアン様は言いたいことを言ってすっきりしたのか、ディアナから望みの返事を聞いて満足したのか、令嬢たちを伴ってこの場を去って行きました。
何はともあれ、ホッとしました。しばらくすると、血の気が引いて冷たくなっていた指先に、やっと体温が戻ってきました。
「ごめんなさい」
「何を謝るの?」
「うまく話せなくて……」
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