34 波乱の予兆

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 万事、そつなくこなすディアナに申し訳なくて、目を合わせることが出来なくて下を向いてしまいました。 「何を言ってるの。あれは、黙ってて正解よ。まともに返事することはないわ」 「でも……」 「相手の方が身分は上だから、断れないでしょう? うっかり、返事なんてしようものなら、またお茶会か食事会をセッティングされるわよ」  それは嫌です。あんな思いは二度としたくないわ。 「でも、ディアナは返事してたわ」 「あんなもの、社交辞令よ。幼馴染だと言っていたでしょう? 約束なんてあってないようなもの。あちらも気にしてないわよ」  バッサリと切り捨てるディアナだけど、ビビアン様との妙な信頼関係が垣間見えてどう受け取ってよいのか、複雑な心境になりました。 「フローラ。先を急ぎましょう。授業が始まるわ」  そうでした。今は休み時間。行きかっていた生徒達が見当たりません。私達は早足に教室を目指しました。 「しつこい人は好きではないのよね。本当に困った人。ブラックリストに加えておくわね。ビビアン様」  ディアナがため息交じりにポツリと小さく呟いた言葉は、私の耳に届かぬまま、風に流されて消えていきました。
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