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35 ビビアンside①
面白かったわあ。
わたくしを見る時のあの怯えようったらありませんでしたわ。
ふふっ、よっぽど堪えたのね。
フローラ・ブルーバーグ侯爵令嬢。
最年少の金紫珠褒賞授与者……国中が栄誉を讃えて湧きかえったとか。十年に一人もしくは百年に一人の天才だと謳われているとか。国の薬学史に名を残すとか。
なにやら大層な噂が流れてくるものだから、異彩を放つ威風堂々とした令嬢かと期待していましたのに。
なんともまあ、髪の色も容貌も地味な平凡な令嬢。探さないとわからないくらい、存在感もありませんでしたわ。
冴えない地味令嬢なのに、人気があるのよねぇ。
あんな地味女のどこがいいのかと思うけれど、挨拶してくれた、親切にしてもらった、勉強を教えてもらった、優しいって。
天才だとちやほやされたわがままで傲慢な令嬢かと思っていたら、全然違う。控えめで気さくな令嬢だって、あっちこっちで耳にしましたわ。
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