35 ビビアンside①

4/4

3360人が本棚に入れています
本棚に追加
/774ページ
「さあ、参りましょう。授業が始まってよ」 「そうでしたわ。ビビアン様の神々しさに平伏してしまって、忘れておりました。申し訳ございません」 「よろしいのよ。皆さんのお気持ちはしかと受け止めましたわ」  女神のごとく崇拝したくなる気持ちはわかりますわ。  輝くようなオレンジがかった金の髪。金色にも見える琥珀の瞳。整った美貌。メリハリのあるスレンダーな体。すべてが完璧ですもの。皆さんが女神のようだと賛美したくなるのもわかりますわ。  そう。わたくしが一番なのよ。ディアナよりもフローラよりも、わたくしは尊いの。  それなのに……  あのお茶会で聞こえてきた話。  最初、信じられなくて耳を疑いましたもの。  このわたくしを差し置いて、フローラがリチャード殿下の語学教師だなんて。  おかしいのではないかしら?    わたくしの方が、話し相手も教師も彼女よりもうまくできますわ。  それに爵位はわたくしの方が上よ。公爵令嬢のわたくしがより相応しいのではなくて。  何かの間違いではないのかしら?   いつの間に、そんな尊いお役目をもらったのかしら?    本当に忌々しい。  公爵令嬢のわたくしより尊重されるなんて許せませんわ。  
/774ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3360人が本棚に入れています
本棚に追加