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「さあ、参りましょう。授業が始まってよ」
「そうでしたわ。ビビアン様の神々しさに平伏してしまって、忘れておりました。申し訳ございません」
「よろしいのよ。皆さんのお気持ちはしかと受け止めましたわ」
女神のごとく崇拝したくなる気持ちはわかりますわ。
輝くようなオレンジがかった金の髪。金色にも見える琥珀の瞳。整った美貌。メリハリのあるスレンダーな体。すべてが完璧ですもの。皆さんが女神のようだと賛美したくなるのもわかりますわ。
そう。わたくしが一番なのよ。ディアナよりもフローラよりも、わたくしは尊いの。
それなのに……
あのお茶会で聞こえてきた話。
最初、信じられなくて耳を疑いましたもの。
このわたくしを差し置いて、フローラがリチャード殿下の語学教師だなんて。
おかしいのではないかしら?
わたくしの方が、話し相手も教師も彼女よりもうまくできますわ。
それに爵位はわたくしの方が上よ。公爵令嬢のわたくしがより相応しいのではなくて。
何かの間違いではないのかしら?
いつの間に、そんな尊いお役目をもらったのかしら?
本当に忌々しい。
公爵令嬢のわたくしより尊重されるなんて許せませんわ。
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