36 気づいた思い

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36 気づいた思い

 いつもなら、レイ様にご挨拶してから別室へと移るのですが、今日は部屋の前に待ち構えていたエルザ達にあれよあれよという間に連れられ、レイ様とは合わずじまい。  よかったのかしら?  お仕事が忙しくて顔を合わせる時間がないとか……いつぞやの出来事を思い出して申し訳ない気持ちが湧いてきます。  私も仕事が大詰めで長居が出来ないことは、お手紙でお知らせしているので、ご承知の上だとは思うのだけれども。  レイ様の顔が見れないのは寂しいのですが、無理して時間を作っていただいているのならば、お断りした方がよかったのかもしれないわ。  西の宮の主人であるレイ様にご挨拶することから始まる訪問はルーティーンとなっていたので、会えないと落ち着かなくてそわそわした気分になってしまう。  そんな私の気持ちを知ってか知らずか、侍女達はあらかじめ用意していたドレスと装飾品を持ち出して、着替えの準備に余念がない。  なんとなくうきうきしているように見えるのは、私の気のせいかしら?
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