36 気づいた思い

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「エルザ。心配のし過ぎだわ。大丈夫よ。食事はとっているわ」 「余計なことを申しました。お許しください」 「そんな……私のことを心配してくれたのでしょう。気にかけてくれてありがたいわ」   毎日、顔を合わせるわけではなく、仕える主人でもないのに気を配ってくれるのは嬉しいものです。  着付けが終わると鏡台の前へ。  お化粧を落として新たにお化粧を施してもらいます。衣装を変えたらそれに合う化粧が必要と言われて、今に至っています。  帰るときはドレスを着替えるので、再度のお化粧直しは必然となっています。  お化粧を落とすと白さを通り越して青白い肌に見えます。  さっきよりも曇ったエルザの顔が鏡越しに映りヒヤッとしましたが、彼女の表情が柔らかくなり 「このドレスには明るめのお化粧が合いそうだわ。それと髪も緩やかな巻き毛にするとよさそうね。フローラ様、いかがでしょうか?」  気づかないふりをしてくれたようです。気まずい思いをしないような心遣いがありがたいわ。 「お任せします」  コーディネートはよくわからなので、エルザ達の言う通りにした方がよさそうです。我が邸でもメイドにお任せ状態なので異論はありません。 「畏まりました。お任せください」  二人は気合の入った返事をするとさっそく準備に取り掛かりました。
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