36 気づいた思い

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「ローラ。いらっしゃい。待ってたよ」  部屋の端に控える側近達が醸し出す生暖かい空気の中、やっと、いつもの挨拶を受けました。 「お待たせいたしました。レイ様」  返事を返すと相好を崩したレイ様がいました。  それにしても、レイ様ってイケボですよね。高すぎず低すぎず、うっとりと聞きやすい丁度よい声質。私の好きな声かもしれません。 「うん。今日は外を散歩しないかい? 天気も良いし色々と話もしたいしね」  レイ様から緊張した雰囲気が感じられるのですが、ほんのちょっとだけ。  侍女達のテンションもいつもより高かったような気がしますし、ソワソワとした浮足立った空気感に疑問を抱くものの、それを問いかけて答えが出るとは思えないので、気のせいということで自分を納得させました。 「はい」  返事をして差し出された手を取り庭園へと向かいました。  外へ出ると木々の緑が視界いっぱいに広がっていました。初夏の爽やかな風が頬を撫でていきます。 「気持ちがいいですね」  からりと乾いたそよ風が心地よいわ。 「うん。そうだね」 「レイ様?」  上の空な声を不思議に思いながらレイ様の横顔を見上げました。私の視線に気づいたのか咄嗟に笑みを作ったレイ様。 「ああ、ごめんね。考え事してた」  
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