36 気づいた思い

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 新緑の若葉が濃い緑に変わって季節の移ろいを感じさせてくれます。小鳥が小枝に止まって囀っていたり羽繕いをしていたり。  レイ様と音を立てないように息を顰めながら、自然の営みを観察していると、ここ最近の嫌なことも忘れて幸福感で満たされていきました。  忙しくてお断りしようとも思ったけれど、お会いしてよかったわ。レイ様の笑顔を見てるだけで癒されるもの。 「そういえば、池の件はどうなった? あれから一向に話が進まない気がするけど?」  池のほとりで魚たちを眺めているとうやむやになっていた我が邸の話。  覚えていらっしゃったのね。  頭の片隅にはあったけれど、次々と新事業を立ち上げたので、両親にはまだ話していませんでした。 「気にはなっていたのですけれど、そこまで行きつかなくて。申し訳ありません」 「別に謝らなくていいからね。池の造作には時間もお金もかかるし、万が一、気に入らなかった時の改装だって大変だからね。ゆっくりと考えていいんだよ。作ると決心した時には全面的に協力するから、それだけは覚えておいて」 「はい。ありがとうございます」  強引に話を進められるかもと冷や冷やしていましたが、そんなことはなくて反対に気遣って頂きました。  気がかりだったことが一つ解決して肩の荷が下りました。  優しいレイ様。
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