36 気づいた思い

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「そうか。今日も時間がないって言ってたね」 「はい。申し訳ございません」  見るからに残念そうにしゅんと項垂れるレイ様に私も寂しくなってしまったわ。一週間に一度とはいえ、お会いするのを楽しみにしていたから。 「そうかあ。それじゃあ、ピスタチオのお菓子もしばらくお預けかー。あれ、美味しかったから食べたかったんだけどなあ」 「ピスタチオ?」  いつ、作ったかしら?   宮の厨房では作ったことはないわ。その時にはピスタチオがお好きなことは知らなかったもの。 「あっ!」  怪訝な顔を向けた私に小さな叫び声をあげて口を塞いだレイ様。  しまった失言したって表情をしていらっしゃるわ。  もしかしたら、他の方と勘違いしていらっしゃるとか。どう考えても心当たりがないので、ちょっと疑念を抱いてしまいます。  「レイ様、それは、いつ……あの……別の方と間違えていらっしゃるのでは?」 「いや、いや、違う。そうじゃなくて……」  あたふたと狼狽える様子にますます怪しさが増していくわ。  どなたなのかしら?   レイ様に手作りのお菓子をプレゼントできる方って。  厨房でお菓子を作ったあと、レイ様がどなたかの隣でニコニコと笑いながら召し上がっている。そんな姿を想像すると心がズキズキとしてきました。  胸が痛いわ。
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