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「うん。そういうことなんだ。ごめんね、誤解させるようなことを言ってしまって」
「いいえ。私も勘違いで早とちりしてしまったみたいで、申し訳ありません」
やっと真相がわかってホッとしました。よくよく聞いてみれば何のことはない。自作のお菓子を私が知らない間にレイ様が召し上がったってことだったのね。
レイ様の規則正しい心臓の鼓動が耳に響いてきます。すっぽりと包まれた腕の中は幸せな夢の中にいるよう。
よかったわ。誤解で済んで。あれがもし本当だったら、ディアナに嫉妬するところだったわ。
よかった……
ちょっと待って。
私、今何を思ったの? 嫉妬? えっ⁈ 嫉妬⁈
ディアナにって、それって……それって……
レイ様のことを……あ、あっ……
頭の中が混乱して、思考と気持ちが追い付かずあわわとパニック状態。
どうすればよいのでしょう。
「ローラ。話があるのだけど」
レイ様の甘い声が頭上から降り注ぎました。聞きなれているはずの声に、心が震え一気に体温が上がって、顔が真っ赤に染まります。
「ローラ。俺の方を見て」
下を向いたままの私に焦れたのでしょうか。再びレイ様の声が。ダメです。恥ずかしくて顔が見れません。動悸も激しくなってきました。
初めて抱く感情にどう向き合えばいいのでしょう。
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