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「それと料理も作って模擬パーティーも行うから材料も揃えておかなくてはね。あとそれから」
お母様は冊子にペンを走らせ注意点を書き連ねていき、あっという間に空白がなくなってしまいました。当日まで気を抜けませんものね。主催者は大変です。
打ち合わせが済んだ頃、お茶が運ばれてきました。
テーブルの上を片付けてすっきりとしたところでティータイム。
紅茶を楽しんでいると
「やっと落ち着いたみたいね」
お母様が私をジッと見つめていました。
「私って、どこかおかしかったかしら?」
「おかしいというか、心ここにあらず、みたいで落ち着かない様子でそわそわしていたでしょう? いつもは冷静なあなたにしては珍しい行動だったもの」
お母様の指摘に冷や汗が流れます。
そんなにわかりやすかったのね。人前では平静を保っていたつもりだったのだけれど。
自分の気持ちをどう納めていいのかわからなくて、ふわふわと雲の上を歩いているようで足元がおぼつかず。
レイ様の顔を思い浮かべただけでドキドキしてくるし、居ても立っても居られなくて、意味もなく部屋の中を歩き回ったりして。
でも、それは自室だけだと思っていたのですが、お母様も気づいていたなんて、恥ずかしい。
「そうでしたか? た、たぶん、仕事の、事を考えていたからですわ」
声が上擦ってしまったけれど、納得してくださいますか?
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