36 気づいた思い

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「そうねえ。忙しかったものね。負担をかけてしまったかしら。ごめんなさいね」 「いえ。そういうわけでは……」  失敗してしまったわ。余計に心配させてしまったのではないかしら。   「今は血色もよさそうだし、顔艶もよくなってきたわね。でも、無理はしないでね。なにより健康が一番よ」  忙しかったのは事実ですが、食欲がなかったのは別の理由もあったから。  お母様は表立って口を挟むことはなかったけれど、随分と気を使わせてしまっていたみたい。  体を気遣う慈愛に満ちたお母様の言葉に頷くも、ここ数日の行動が誤解を生んでしまったことに心の中で謝りました。   パーティーが終わるまでは登城しないので、ちょうどよかったのかもしれないわ。本人を目の前にして冷静でいられるかどうかは自信がありませんもの。  時間の猶予があって助かったと思うことにするわ。  仕事に打ち込めば忘れていられるし、時間がたてば気持ちにもゆとりが出てくるかもしれない。  きっと、大丈夫よ。  今度お会いしたら、先日の非礼をお詫びしなくては。  レイ様、怒っていらっしゃるわよね。  着替える間もなく宮から退出してしまったから、ドレスやアクセサリーも持ち帰ったまま手元にあるわ。お返しするなら早い方がいいのよね。  どうしましょう。    悩みを抱え迷いつつも、いつしか仕事に忙殺されて時間は過ぎていくのでした。
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