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37 ビビアンside②
「ビビアン……」
「?」
家族用の応接室の前を通っていたらわたくしの名前が聞こえた。
扉がほんの少し開いておりそこから声が漏れたみたいだわ。声の主はお父様とお母様。
わたくしの話かしら?
扉が開いているとはいえ、盗み聞きと同じですわよね。けれども、良くも悪くも自分の話題となれば聞かずにはいられないというもの。
好奇心の方が勝ったわたくしは、通り過ぎようと思った足を止めて耳を澄まし、扉の向こう側に集中して聞き耳を立てた。
「レイニー殿下の……」
「レイニー殿下とは、我が国の第三王子殿下のことですか?」
「ああ」
え? レイニー殿下?
なぜここにレイニー殿下のお名前が出てくるのかしら?
「これは議会が閉会して陛下が退出された後の話なんだが、ユージン殿下の結婚が決まっただろう。だから、次はレイニー殿下だという話になったんだ」
「レイニー殿下と言えば、王妃陛下似の美貌を受け継ぐ見目麗しい王子様だと聞いておりますわ」
「この前、直にお会いしたのだが、噂に違わぬというよりそれ以上だった」
「まあ。それほどなのですか? それで、その殿下がどうかされたのですか?」
「実はレイニー殿下の結婚相手にビビアンの名前が上がっていてな」
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