37 ビビアンside②

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「その中でもビビアンが一番ではないですか。醜聞もありませんし、どこをとっても申し分ありませんもの。絶対に選ばれますわ」 「そうだな。レイニー殿下は王太子の補佐役として王子の地位もそのまま。結婚すれば王子妃となるから、王族の一員となる。王子妃を輩出したとなればわしの名声も上がる。公爵家として少々肩身の狭い思いもしてきたが、ビビアンが王子妃になれば、大手を振って歩けるようになるな」 「本当に、そうですわ。四大公爵家の内、王族と婚姻関係がなかったのはうちだけでしたものね。わたくしもつらい思いをしてましたの。ビビアンが王子妃に選ばれたら、他の公爵家に見返してあげられるわ。旦那様、どうかお願いいたします」 「ああ、わかっている。我がシュミット公爵家の名誉がかかっている。尽力するよ」 「旦那様……」  お父様もお母様もわたくしに多大なる期待をかけておいでなのね。  これ以上ここにいたら見つからないとも限らない。盗み聞きしたのがばれてしまいますわ。ここまで話が聞ければ十分だわ。  わたくしは足音を立てないように扉から離れて自室へと戻った。  
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