3362人が本棚に入れています
本棚に追加
/774ページ
「ちょっと、それ、なんなの? 酷いじゃないの。大体ねえ、悪いのは元婚約者であってフローラちゃんではないでしょう。どういうことなのよ」
案の定、怒って憤りを見せるアンジェラ。
持っていたフォークを握りしめてわなわなと震えている。柳眉を逆立て怒りまくる彼女を宥めるのに一苦労したわ。
これが普通の反応だわ。激怒するのは当たり前よね。
「彼女とは気が合わないと思っていたけれど、この先も合う気がしないわね」
やっと怒りが治まったアンジェラの諦めたような口ぶりで肩を竦めた。
「王太子妃がそんなことを言ってはいけないわ」
「説得力に欠けるわよ。顔が緩んでいるもの。鏡を貸しましょうか?」
「大丈夫。自覚しているから」
気持ちはわかるから、咎めるつもりもないし説得する気もない。一応ね、形だけ。
王妃主催の公爵家を招くお茶会や食事会が年に数回あって、それぞれの公爵家とは交流があるから令嬢達とも顔馴染み。
年齢によってもつき合い方は変わるし、気の合わない令嬢もいたりすると自然と疎遠になってしまうのよね。
アンジェラとビビアン様もそんな感じかしら。
自然というよりアンジェラの場合、意図的に避けていたと考える方が妥当かもしれないわ。
公爵令嬢なのに、王太子妃に敬遠されているビビアン様も気の毒だわね。どうでもいいけれど。
最初のコメントを投稿しよう!