38 ディアナside⑤

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「まあ、まあ。それを言ってしまったらお終いだし、フローラの気持ちを大事することにはならないわ」 「……それは、そうだけど。でも、じれったくてやきもきしてしまうわ」 「それは、わたしも同じよ。けど、王命は使わないとの約束だし、フローラの幸せが最優先だから、じれったくても見守るしかないのよね」 「わかっているわ。フローラちゃんはどうなのかしらね。レイニーのことをどう思っているのかしら?」 「好意は抱いているとは思うわよ。それが恋なのかはわからないけれど。あの時は結婚なんて考えていないと言い切っていたから、そこが心配ではあるわね」  傷物令嬢なんて、誰もそんなこと思っていないのに。むしろあの男と縁が切れてこちらはせいせいしているというのに。嫌味なことを言ってくれたものだわ。思い出したら、ムカムカしてきたわ。 「好意があるだけでも十分かしらね。毎回、レイニーの所に行っているけれど、楽しそうにしているみたいだし、宮も以前より華やいでいるみたいですものね」 「インテリアも変わっていたし、特に侍女達が張り切っているみたいよ。フローラが宮に入ってきただけでこうも違うのかって驚いたもの」 「まあ、そんなに違うの? わたくしも一度覗いてみようかしら」  好奇心に駆られたアンジェラに 「今度、一緒に行ってみる?」  なんて、誘いをかけてみたわ。百聞は一見に如かずというものね。 「行くわ」  即答だった。ちょっと苦笑い。
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