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「まあ、まあ。それを言ってしまったらお終いだし、フローラの気持ちを大事することにはならないわ」
「……それは、そうだけど。でも、じれったくてやきもきしてしまうわ」
「それは、わたしも同じよ。けど、王命は使わないとの約束だし、フローラの幸せが最優先だから、じれったくても見守るしかないのよね」
「わかっているわ。フローラちゃんはどうなのかしらね。レイニーのことをどう思っているのかしら?」
「好意は抱いているとは思うわよ。それが恋なのかはわからないけれど。あの時は結婚なんて考えていないと言い切っていたから、そこが心配ではあるわね」
傷物令嬢なんて、誰もそんなこと思っていないのに。むしろあの男と縁が切れてこちらはせいせいしているというのに。嫌味なことを言ってくれたものだわ。思い出したら、ムカムカしてきたわ。
「好意があるだけでも十分かしらね。毎回、レイニーの所に行っているけれど、楽しそうにしているみたいだし、宮も以前より華やいでいるみたいですものね」
「インテリアも変わっていたし、特に侍女達が張り切っているみたいよ。フローラが宮に入ってきただけでこうも違うのかって驚いたもの」
「まあ、そんなに違うの? わたくしも一度覗いてみようかしら」
好奇心に駆られたアンジェラに
「今度、一緒に行ってみる?」
なんて、誘いをかけてみたわ。百聞は一見に如かずというものね。
「行くわ」
即答だった。ちょっと苦笑い。
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