39 遠い告白

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「ほら、音楽が始まったわ。フローラ、レイニーと踊ってきたらどう?」  ディアナがそっと耳打ちしてきましたが、 「無理よ」  手を振って断るようなサインを送ります。  レイ様に会ったら冷静でいられる自信がありません。    つい先日レセプションパーティーが無事に終わりました。  数週間のお休みを頂いている間は、気持ちを整理するのに最適な期間で、なんとか落ち着きを取り戻したところだったのです。  それでも、実物のレイ様の姿を見ると心臓がドキドキして顔が熱くなってきました。  こんな状態なのに、ダンスなんて踊ったら心臓が壊れてしまうかもしれないわ。 「遠慮しなくてもいいのよ。あなたは侯爵令嬢なのだから踊る権利は十分にあるわよ。残念ながら、ファーストダンスはビビアン様だけれど。さっ、行きましょう」  ビビアン様。  条件反射なのかびくっと体が震えたけれど、ディアナはお構いなしに私の腕を引っ張ると壇上の近くまで連れ出しました。  そこでは令嬢達が鈴なりのように集まっています。もしかして、ダンス待ちの令嬢なのかしら?
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