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「あれだけ容姿が良ければ、モテるわよね」
やっぱり、ディアナもそう思うわよね。皆を虜にするような美貌の持ち主ですもの。令嬢達がほっとかないわ。今までなんで気づかなかったのかしら。
レイ様がビビアン様の手を取りダンスが始まりました。
鮮やかな深紅のドレスがビビアン様の美貌を輝かせ、レイ様の瞳と同じ菫色のイヤリングが耳元で揺れています。
パートナーのいない王族の場合、爵位の高い独身の令嬢とファーストダンスを踊る決まりがあります。
ですので公爵令嬢のビビアン様がファーストダンスのパートナーを務めることになります。そのあとはフリーでどなたと踊ってもよいことになっています。
レイ様の濃藍を基調とした正装とビビアン様のドレスの色が引き立て合って、一対のお人形のように目に映りました。
美男美女、お似合いだわ。
微笑むレイ様にビビアン様もにこやかに答えて、優雅で堂々としたダンスを踊る姿にズキッと胸が痛みます。
「ほ、ほう。お似合いですな。あの令嬢はどなたですかな?」
「シュミット公爵家のご令嬢のようですね。名前はビビアン嬢だったかと」
「なんと、シュミット公爵はこんな美しい令嬢を隠しておったのか」
「婚約者はいないと聞いておりますが、才色兼備と評判のご令嬢のようです。レイニー殿下とお似合いではないですか」
「ほんに、よいですな」
はははっ。
笑い声とともに後ろから壮年らしい貴族達の声が聞こえました。
下世話と言えばそうなのでしょうが、お二人を目にすればそんな会話が飛び出すのも無理はないのかもしれません。
本当にお似合いだもの。
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