39 遠い告白

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「ビビアン様とは上手に踊っていらっしゃいました」  軽々と優雅に微笑んで……とても、素敵だった。嫌いなダンスとはとても思えなかったわ。 「必死だったんだよ。一応、王子だし、みっともないところは見せられないからね。頑張ったんだ。褒めてくれる?」  レイ様。 「……素敵でした。流麗なダンスで見惚れてしまいました」  胸がいっぱいになりながら、素直な感想を述べました。 「ちょっと、褒めすぎ? でも、ローラに褒めてもらえると、頑張ってよかったって思えるよ。本当に嬉しいな」  破顔一笑したレイ様が眩しくて胸がときめいて、うるっと来てしまいます。  それからは夢心地。  レイ様のリードは完璧で難しい曲にも難なく乗って本当に軽やかでした。私のダンスのスキルが上がったと勘違いしそうなくらいに、華麗なリードと足さばきです。  豪奢なシャンデリアが光を反射してキラキラと輝く中、クルクルとターンをするたびにピーコックグリーンのドレスの裾が翻る。時折、レイ様が耳元で囁いて、私の笑みを誘います。  そんな様子さえ楽しくて幸せでこの時間がずっと続けばよいのにと思ったくらい。夢のような時間はあっという間。曲が終わりダンスも終焉を迎えました。 「もう一曲、踊りたいな」  私も同じです。レイ様と踊りたい。 「また、この次に」  令嬢達が待っています。  独り占めするわけにはいけませんものね。  夢から覚めて現実に立ち返ると一令嬢の我儘は押し通せません。レイ様のためにも身を引くのも必要でしょうから。
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