39 遠い告白

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「喉が渇いたわ」  ドリンクコーナーに足を運んでノンアルコールの飲み物を選びました。  スティール様とのダンスの後、他の男性からも申し込まれて踊ってしまったから、体がくたくたでした。  もうこれ以上は踊れないわ。  グラスを手にして一気に飲み干しました。冷たい液体が喉を潤してくれて体が生き返ったわ。    会場を見回すと貴族達はダンスをしていたりおしゃべりに興じていたり、ホールは活気づいてにぎやかです。  両親はレセプションパーティーのお礼を兼ねて挨拶回りをと言っていたのであの中にいるのでしょう。  二日間にわたるパーティーは大成功で招待客も公爵家から男爵家までと幅広かったですから、かなりの人数になりました。  混乱することなくスムーズに遂行できたのはフェリシア様の手腕があればこそ。  それに加えて王太子妃のアンジェラ様とリッキー様まで参加とあっては、王家のお墨付きをもらったと評判にならないわけはありません。  開店を待ちわびている方々が大勢いると聞いています。  これが箔をつけるということだったのねと今更ながら、身が引き締まる思いです。  そんなことを考えながらレイ様の姿を探していました。  会場の隅々まで目を凝らして見てみたけれど、姿がありません。  レイ様はどこに?   先ほどまで令嬢達と踊っていらっしゃったはず。私が踊っている目の端に他の令嬢と踊るレイ様の姿が映っていたから。
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