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隣に腰を落ち着けたレイ様はどことなく得意げに見えました。
それにしてもくっつきすぎではないでしょうか? 隣に座るレイ様に慣れたといえ、この距離は許されるものなのでしょうか?
先程の令嬢達の姿が思い浮かびました。チクンとした痛みをともなって。
「星がきれいですね」
憂いを払うように空を見上げました。
数多の星々が夜空を飾り光輝いています。大きな満月がぽっかりと浮かんでいました。
「そうだね。でも星よりもローラの方が……」
レイ様が何かを言いかけた時、ミシッと音が聞こえました。
私達は顔を見合わせました。
ここは木々が立ち並んでいて、人の姿があっても見えず目隠し状態になっています。
悪いことをしているわけではありませんが、二人きりですから見つかるとまずいかもしれません。
じっと様子を窺っていましたが、声も足音も姿も現す気配がありません。
気のせい? そう思い始めたところに
「もっと、奥に行こう。王家の庭園があるんだ」
レイ様が耳打ちをしました。
うっかりしてました。
今夜は大勢の貴族達が集っています。用心した方がいいのかもしれません。レイ様の迷惑にならないように。
私達はベンチから離れて奥へと進んでいきました。
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