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「レイ様」
「嫌われたわけではないよね」
「はい。嫌っていません。そんなことあるはずはありません」
だって、私はレイ様が大好きなのですから。
「よかった。ローラに嫌われたら立ち直れない」
「そんな、大袈裟ですよ。レイ様を嫌う人なんていないと思いますよ。大丈夫です」
彼の事を好きになっても嫌いになる人なんていないと思うわ。そこは断言できます。励ますように気落ちしたレイ様に声をかけると
「うん。ローラらしいね。ありがとう」
一声と共に、いっそう抱きしめられました。
棒読みの声は気になったけれど、励ましにはなったようです。よかったわ。レイ様にはいつも元気でいてほしいもの。
「ところで、今日は何人の令息と踊ったの?」
「えっ?」
唐突過ぎる問いに面食らってしまいました。未だレイ様の腕の中。
さらにギュッと抱きしめられて息が……
「く、苦しい……」
レイ様の背中を叩きます。これ以上、力を込められたら窒息してしまいます。
「ご、ごめん」
やっと、腕の力を緩めて下さいましたが、苦悶から逃れ何度か深呼吸を繰り返している間もレイ様は私を離しませんでした。
というより、いつの間にか膝の上にのせられて腕の中に囲われていました。
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