39 遠い告白

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 ビビアン様の右手に持っているものが、ぷらぷらと揺れているのが目に入りました。  揺れているものが気になって、目を凝らしてみているとパサリと地面に落ちました。  頼みの綱だった糸らしきものが切れてしまったのでしょう。  何だったのかしら?   不思議に思っていましたが、柄のようなもの……  ひゅっ。  その正体に気づいた刹那、喉がなり息を呑みました。  扇子。  右手に持っていたのは扇子です。  ぽっきりと折れてしまった扇子の半分は失われて地に落ち草むらの中。  バキバキッ。さっきの音の正体は……  ちょっとやそっとの力では折れないはず。ましてや女性の力で簡単に折れるはずはありません。  どれほどの力であれを?    想像した途端、今なお、私を睨みつけているビビアン様の相貌にぶわっと鳥肌が立ちました。  思わず、レイ様の腕にしがみつきました。レイ様はあやすようにポンポンと背中を軽く叩くと私を隠すように背を向けます。 「君は……シュミット公爵令嬢だね。どうしてここに?」  レイ様はビビアン様に問いました。  ファーストダンスを踊った相手ですから、記憶に新しかったのでしょう。  私を睨みつけた鬼のような形相は、ほんのわずかの時間だったのかもしれません。レイ様に名前を呼ばれた彼女の表情が、とろけるような甘やかな表情へと瞬時に変わりました。
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