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「それは……」
レイ様が言葉に詰まります。
その時に
「わたしが誘ったのよ。約束していたの」
空を割くように涼やかで澄んだ声がしました。
そして、噴水の陰から姿を現したディアナ。その後ろにはハイスター公爵様。
人影などなかったのに。なぜ、ここに? いつから?
疑問は浮かんでくるものの聞けるような雰囲気ではありません。
「ディアナ」
ビビアン様が知己の顔を見つけて、味方を得たと思ったのか顔が綻びました。
「そういうわけだから、ご遠慮してくださらないかしら。皆で語り合おうと集まったのよ」
「それなら、わたくしもご一緒させてくださいませ。ディアナ、いいでしょう?」
言葉の意味を理解していないのか、聞こえていないのか、ちょこんと首をかしげてお願いをするビビアン様にディアナがお手上げ状態とばかりに肩を竦めます。
「僕はシュミット公爵令嬢とは面識がないのだけれど、それでも同席したいのかな?」
ディアナの後ろに立っていた公爵様がゆっくりと口を開きました。
鷹揚な態度を崩さない公爵様はそこはかとなく威厳があり、冷気を纏った清廉な雰囲気があります。
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