39 遠い告白

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「いいのよ。しつこかったものね。お役に立てて良かったわ」  公爵様はディアナの隣でにっこりと笑ってらっしゃいます。 「ローラは大丈夫?」  レイ様が気遣ってくださいます。 「はい。大丈夫です」  恐怖に震えた背中を撫でて下さったので、随分と心強かったわ。  レイ様の腕の中から解放されると少しだけ淋しくなりましたが、二人の前でそんな姿は見せられませんもの。   「災難だったわねぇ。レイニー」  同情心たっぷりの言葉を投げかけたディアナに 「お前達、いつからいたんだ?」  わなわなと震えながら疑問をぶつけたレイ様。  私も気になったところだったのですが、もしも、一部始終を見られていたらと思うと顔から火が出るほど恥ずかしいので、事実を知る必要はないかと思って、あえてスルーしてました。  でも、レイ様は気になるのですね。 「いつって、たった今よ。ちょうどビビアン様がいた頃かしら? 休憩するために来てみたら、彼女の声が聞こえたじゃない? 何事かと思って顔を出したのよ」 「……」  動じることなくスラスラと状況を説明するディアナに、疑惑の目を向けているのがありありとわかります。  ですが、レイ様、些末事は気にせずそのまま信じましょう。その方が私達のためかと思います。  心の中の声。さすがに面と向かっては言えません。
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