40 ビビアンside③

1/10
前へ
/774ページ
次へ

40 ビビアンside③

 今夜は最高の日になりそうですわ。  第二王子であるユージン殿下の婚約祝賀会に公の場に滅多に姿を現さないレイニー殿下も出席されるということで、学園でもその話題で持ち切りでしたの。  レイニー殿下と言えば王妃陛下の美貌を受け継ぐ見目麗しき王子だと評判で、密かに憧れている令嬢も多いと聞くわ。  未だに婚約者が決まっていないから、今夜を期に狙っている令嬢もいるかもしれませんわ。  でも、どれほどの令嬢が狙っていようとも迫ろうとも無駄ですわよ。  なぜって? わたくしがいるからですわ。  身分も美貌も教養も兼ね備えたわたくしに誰がかなうというのでしょう? 誰もいませんわね。    誰かが選ばずとも、わたくしたちは出会った瞬間に恋に落ちるのですわ。  レイニー殿下の瞳にはわたくしが、わたくしの瞳にはレイニー殿下だけを映して他のことは目に入らない。二人だけの世界。  そして、跪いた殿下はわたくしに結婚を申し込むのです。  周りからの祝福の拍手と歓声が二人を包み、わたくしたちは永遠の愛を誓う。なんてロマンティックで幸せな瞬間なのかしら。  瞼の裏にその光景がハッキリと目に浮かびますわ。  オーホホホ。  楽しみだわ。早くその時が来ないかしら。    前途洋々たる未来に思いを馳せて、期待に胸を膨らませて大ホールへと足を踏み入れたのです。
/774ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3363人が本棚に入れています
本棚に追加