3362人が本棚に入れています
本棚に追加
いったい、いつの間に、二人は知り合っていたの。
自分を厳しく律してマナーも語学もその他の教養も一流だと認められるように頑張ってきた。それもひとえに王子妃に相応しくあるように。
どれだけ、わたくしが努力したのか、フローラ、あなたは知らないでしょう。血の滲むような努力をして築き上げた成果が、これから花開く時だったのに。
王子と知り合える機会なんて、そんなにあるわけではない。
レイニー殿下は公の場にもほとんど姿は現さなかったから、噂だけが先行していた幻の王子様だった。
王太子殿下も第二王子殿下も政略結婚。だから、レイニー殿下もそうだと思っていた。いつかは婚約者として声がかかるだろうと心待ちにしていたのに。
どんな手管を使ったか知らないけれど、レイニー殿下の懐に入り込みわたくしから奪おうというの。許せない。
憎らしい。
レイ様と呼ぶフローラが。
隣で当然のように微笑む姿が。
羨ましくて妬ましくてたまらない。
持っていた扇子を握りしめるとミシッと音がした。
最初のコメントを投稿しよう!