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「よい祝賀会でしたわ。ユージン殿下とポラリス嬢。とてもお似合いでしたわね」
馬車が走り出してしばらくたった頃にお母様が感動しきりに祝賀会の話しを始めた。
「ああ、あとは婚礼の日を待つだけだ。これから忙しくなるが、慶事だから担当の者たちも皆張り切っていたよ」
お父様は内務大臣。国内行事の重要な役割を担っている。
「そうでしょうね。それに、また一つ慶事が増えるかもしれませんわ」
「まだ、決まったわけではないよ。早計というものだよ。滅多に口に出すものではない」
「わかっておりますわ」
お母様は高揚した気分を抑えきれないのか、頬が緩みっぱなし。
機嫌がいいのは良いけれど、何を想像しているのかわかるだけに、憂鬱な気分のわたくしには少々鬱陶しい。
「それにしても、レイニー殿下の美貌は噂以上でしたわね」
「わしがそう言っただろう?」
「ええ。旦那様の言う通りでしたわ。そして、まあ……ビビアンと並んだ時の美しさったらありませんでしたわねえ」
その時のことを思い出したのか、お母様はうっとりと感嘆のため息をついている。
「周りも見惚れておったな。美しい。美麗なカップルだと、お似合いだと口々に言われたな」
「そうですわ。レイニー殿下とビビアン。これ以上のお相手はいないだろうと皆さんから褒めて頂きましたわ。親の欲目ではなく、今回一番輝いていたのは、ビビアンでしたもの」
「レイニー殿下も何人かの令嬢と踊っていらしたが、やはり、殿下の美貌に引けを取らないビビアンが一番似合っていたのは周知の事実。よい機会に恵まれたものだ」
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