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そのチャンスもディアナとハイスター公爵の登場で無になってしまった。
『僕はシュミット公爵令嬢とは面識がないのだけれど、それでも同席したいのかな?』
『ディアナとフローラ嬢の友人のようだから、どうしてもというならば同席しても構わないよ。どうする?』
公爵の言葉にはわたくしに対する敬意も爵位が同じもの同士の親しみもなかった。仲間に入れてあげようという優しさも感じられなかった。
わたくしは邪魔者扱い。
こんな惨めな思いをしてこの場にいるのはつらい。こんな屈辱は初めてだった。
国王陛下の甥で側近。心証を悪くするわけにはいかない。王子妃への道が遠のく可能性があるから、引くしかなかった。
悔しい。悔しいわ。
いつの間にハイスター公爵まで引き入れているのよ。ディアナもなんでわたくしに公爵を紹介してくれなかったのよ。
わたくしに先に引き合わせるのが礼儀でしょうに。
そしたら、もっと早くレイニー殿下と会えていたわ。こんな惨めな思いをしなくてもすんだのよ。
期待に満ちた数時間前は今は夢まぼろしのように消えてしまった。
「ねえ、お父様? レイニー殿下のお相手は決まっているのですか?」
「いや。何も聞いていない。これからだよ。ビビアンも興味があるのかい?」
「ふふっ。気にしている令嬢がたくさんいらっしゃるので、聞いてみましたの。素敵な方ですもの。みんな憧れますわ」
「そうか、そうだな」
そうよね。まだ、正式に決まったわけではないわ。まだ、わたくしにもチャンスはあるはずよ。それに、結婚するまでは何があるかわからないものね。
フフフ。
大丈夫よ。
最後の最後に結婚出来ればいいのよ。諦めないわ。
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