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「ふふっ。まあ、よろしいわ。これからが大事ですものね。フローラ様はリチャード殿下の語学教師をしてらっしゃるのよね。今度から、わたくしが行きますから、変わっていただけるかしら。わたくしの方が相応しいと思いますのよ。よろしいですわね」
決定事項のように言われても困ります。
私はフルフルと頭を左右に振りました。
「これは、私が決めたわけではありませんので、勝手に代わるわけにはまいりません」
なんとか答えましたが、ビビアン様は目を細めて口角を上げるとニッと笑います。
「冷たいですわね。わたくしたちお友達でしょう? 推薦してくださってもよろしいのよ。二人で担当するのもよいのではないかしら。名案だわ。そう思いませんこと?」
突拍子もない提案に是とは言えません。黙ったままでいると今度は鉄扇でくいっとあごを持ち上げられました。
「私はあくまでも臨時ですので、正式な教師は間もなく決まるかと思います。ですので私ではお力になれないかと」
「あら、そうですの。あなたも案外使えませんのね」
無茶な事を平然と言ってのけるビビアン様に言い知れぬ恐怖がこみ上げます。
「そろそろ、レイニー殿下を解放して差し上げたらいかがかしら?」
レイ様? 解放してって、どういう意味なのでしょうか?
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