41 砕け散る

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「レイニー殿下もお気の毒ね。ガーデンパーティーで知り合ったばかりに、こんな地味で冴えない令嬢の相手をしなければならないなんて。いい加減、うんざりしていらっしゃるのではないかしらねぇ」  そ、そんな……レイ様はそんな方ではないわ。いつもお優しくて、楽しそうにお話をして下さるのに。うんざりって言い方はあんまりだわ。 「レイ様、レイニー殿下はとても気さくな方で、私にも分け隔てなく接してくださいます」  レイ様とつい口に出た時、ビビアン様の眉がピクリと動きました。私はしまったと思ってすぐに言い直したのが功を奏したのか、不問にして下さったようです。 「それは当たり前でしょう。わたくしだって嫌いな方がいたとしても態度には出しませんわ。そういうものでしょう? だから、あなたが察してあげないといけないのではなくて。もう十分にお相手をしてもらったでしょうから、自ら引くことも大切よ。これ以上、嫌われないためにもね」  意味が分かりません。  嫌われている。私はレイ様に嫌われているの? 「それに、これはあまり言いたくはなかったけれど、レイニー殿下とのダンスはみっともなかったですわ。殿下も渋々お相手をなさったのでしょうけれど、まったく釣り合っていませんでしたわ。わたくしがそばにいればフローラ様をお止めしたのに、ごめんなさいね。お役に立てませんでしたわ」  
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