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ああ、これが言いたかったのね。
レイ様に相応しいのは自分だとビビアン・シュミット公爵令嬢だとそういいたかったのね。
彼女の言う通り、ダンスをしているお二人はとても素敵だったし、お似合いだったもの。それをわざわざ私に知らせなくてもいいのに。
私がレイ様と会っていたから? ダンスをしていたから? それが許せなかったのかしら。
王子妃になりたいなんて思ってもいなかった。レイ様の事は好きだけれど、そんな大それたこと考えてもいなかった。
「そういえば、結婚など考えていないとおっしゃっていましたわね。でも、テンネル侯爵家の子息となら釣り合うのではないかしらね。相手は違えど元々婚約してたんですものね。地味で冴えない者同士、とてもお似合いでしたわよ。わたくしも祝福致しますわ」
冷笑を浮かべたビビアン様に何も言葉が出てきません。
唇を噛みしめてこみ上げてくる涙をこらえるのでせいっぱいです。何かを言ったとしても、それに対してまた嘲りの言葉が返ってくるだけでしょう。
あきらめの境地と論破できない悔しさと自分の恋心も踏みにじられた悲しみで胸が張り裂けそうです。
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