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「わかって下さったようね。よかったですわ。では、ごきげんよう」
自分勝手に結論づけたビビアン様は鉄扇を仕舞うと優雅な足取りで立ち去って行きました。
ビビアン様が見えなくなると体の力が一気に抜けて、壁伝いにズルズルと地面に崩れ落ちました。何があったのか何を言われたのか、頭が混乱して何も考えられなくて。
力なく座り込んだまま、放心して動けなくて、さっきまで我慢していた涙が溢れてきて頬を濡らします。
「んっ、ひっく、ううっ……」
嗚咽を漏らしながら、ぽたぽたと流れる涙は握りしめた手に落ちていきました。
ポツ、ポツ。
雨雲が空を瞬く間に覆い辺りが暗くなったと同時に降りだした雨。
空から落ちた雨は地面に吸い込まれていきました。
やがて、ザーと本格的に降り出した雨は私の髪を制服を容赦なく濡らしていきます。制服にしみ込んだ冷たい雨の水分が体温を奪っていきますが、抜け殻のような体では立ち上がることさえできませんでした。
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