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サリーったら、心配性なんだから。でも、献身的に看病をしてくれたから、言うことを聞かないといけないわね。
しばらくすると、朗らかな声と共にディアナが来てくれたわ。
「こんにちは。具合はどう?」
手には大きな花束を抱えていました。あとに続くようにサリー達がなにやら品物を運んできて、チェストの上に並べ始めました。
「一人では持てなかったから、手伝ってもらったわ。みんなからお見舞いの品を預かってきたのよ。気軽に外出できない方達ばかりだから」
気軽に外出できない方って……まさか、ですよね?
サリーは部屋に案内されたディアナに椅子を用意すると、私にはショウガと蜂蜜をいれた紅茶とディアナには紅茶とチーズケーキを準備してから、部屋の奥に控えています。
「先ずは、これね」
ディアナは自分が抱えていた花束を差し出しました。ベビーピンクの薔薇の花束。しかも百本くらいありそうなたくさんの薔薇です。花が咲いているもの、咲きかけのもの、蕾のもの。割合的には蕾の方が多い。それをバランスよく束ねてありました。
「これはね、ローズ様のプライベートガーデンに咲いているものなの。ローズ様のお気に入りの薔薇なのよ。それと蕾が多いのはね、花を長く楽しんでほしいからという思いとフローラちゃんの癒しになれば嬉しいわって、おっしゃっていたわ」
ベビーピンクの優しくて明るい色合いが荒んだ心の中にしみ込んでいくよう。ローズ様の細やかな心遣いが有難くて温かい気持ちになります。
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