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埋もれるような豪華な花束をしばらく眺めたあと、花瓶に生けてもらうために控えていたサリーに託しました。
「あとはね、アンジェラからはフルーツの詰め合わせと私からは野菜ジュースよ。栄養が取れる実用的なものもいいと思って、選んでみたわ」
「ありがとう。ローズ様やアンジェラ様まで。風邪を引いただけなのに、気を遣わせてしまって申し訳ないわ」
「何を言ってるの。こういうことは気にしないのよ。風邪とは言ってもけっこう長引いているから、二人共心配していたわ」
「ごめんなさい。ローズ様やアンジェラ様のお手を煩わせてしまったわ。それにディアナにも心配をかけてしまって」
「謝らなくていいから。早く治すことが先決よ」
「ええ。そうね。早く元気になりたいわ」
リッキー様の学習もお休みを頂いていた上に今回の風邪で数週間も滞っている状態。アンジェラ様にもリッキー様にも迷惑をかけて教師失格ね。私には向いていないかもしれないわ。
「あっ。それと肝心なことを忘れるところだったわ」
ディアナは椅子から立ち上がるとチェストに置いてあった品物を持ってきました。リボンのかかった四角い箱。かわいくラッピングされたそれを私に手渡しました。
どなたからなのでしょう? 私にお見舞いをしてくれる方って、他にいたかしら?
送り主が思いつかなくて首を傾げました。
「さあ、開けてみて」
急かせるように催促するディアナにますます疑問符を浮かべながら、リボンを解いて包装紙を開けました。
そして現れたのは、箱の中におしゃれに収まっている二枚のハンカチでした。
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