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43 テンネル侯爵夫人side②
「お姉様。わざわざ来ていただいたのに、申し訳ないわ」
「いいのよ。病気なら仕方ないですものね」
テラスでお茶を飲みながら謝った。
今日はリリアさんの侯爵夫人教育の日。チェント男爵家から風邪のために休むと知らされたのは、少し前の事。姉への連絡が間に合わなかった。
「いいじゃない? たまには姉妹でゆっくりとお茶を楽しむのもよいわ」
「そうね」
昨日の激しい雨とは打って変わったような快晴。晴れ渡った蒼穹には雲一つない。眼前の花々には、まだ夕べの名残の水玉が太陽の光に輝いている。
姉のエレガントな仕草には毎回見惚れてしまう。
そろそろ中年期に差し掛かる年齢だけれど、手入れの行き届いたすべすべの肌にはほんのりと薄化粧。それだけなのにビューティフル。
爪のエイルもおしゃれ。艶のある金色の髪は纏めただけなのに品がある。過度に着飾らないシンプルなドレスもよく似合っている。
背筋を伸ばした姿勢が凛としていて、揺るぎのないまっすぐな生き方を貫く美しい姉はわたくしの憧れ。
「次は二週間後だったかしら?」
「ええ。来週は学園の試験があると言っていたから、そうなるわね」
今後のスケジュールを聞いてきた姉に頭の中で今後のことを確認しながら返事を返した。
「このまま、続けても大丈夫かしら?」
間が空くスケジュールが良い機会、ここが潮時ではないだろうかと考える。はかばかしくない侯爵夫人教育にわたくしの心が折れそうになっている。
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