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「そのことも頭の痛い原因の一つだわ。そんなに怒るな、厳しくするな、リリアはやればできる。もう少しだけ時間をくれって、この一点張りだもの。だから、リリアさんもそれに甘えるのよね。あれではいつまでたっても身につかないわ」
せっかく学ぶのなら一緒の方がリリアさんの励みにもなって教育も進むだろうと思って、エドガーも参加させたのが徒になったわ。
「ほんとにねぇ。努力と頑張りの片鱗でも見えれば、まだ見込みもあるのだけれども、やる気がないのが見え見えですものね」
姉の言う通りなので何も言えないわ。最初から躓くなんて想像もしていなかった。
本音では、エドガーを後継者から外したいのだけれど、スティールが渋っている現状では外すに外せない。そんな理由もあって、侯爵夫人教育を始めることにしたのだ。
フローラさんとの婚約を解消してまでその座を手に入れたのだから、それ相応の成果を見せてほしかった。最初から難しいことを要求をしているわけではないし、すぐすぐに身に着くものではないことは重々承知の上。要はやる気なのよ。努力なのよ。それを見せてほしいのよ。
「お姉様、どうしたらいいのかしら? このままでは、いくらなんでも侯爵夫人にはできないわ。だからと言って、いつまでもお姉様に頼ってもいられないでしょう?」
「わたくしが辞めるのは簡単だけれども、そのあとはどうするの? 他の講師に頼むの? それとも諦める?」
「それは……」
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