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45 すれ違う心
「わーい。ローラおねえちゃんだ」
やっと風邪が治って体が回復した私は、お休みしていたリッキー様の語学学習のために登城して、いつもの部屋に入るとすぐさま抱きついてきたのは、リッキー様でした。
腰の辺りにぎゅっと抱きついて喜びを表すリッキー様の姿は微笑ましく心がポカポカと温かくなります。
「リッキー様、お久しぶりでございます」
「うん。ずっと、ローラおねえちゃんに会いたかったんだ。病気はよくなった?」
「はい。すっかり、治りました。ご心配かけて申し訳ありません」
小さい殿下にも気遣いをさせるなんて、教師失格だわ。
「ニャー、ニャー」
リッキー様の声に呼応するようにマロンの鳴き声がしました。
足元を見るとスリスリと私のドレスに纏わりついています。その姿を見て思わず二度見してしまいました。
「マロンよね?」
「ニャーン」
「大きくなってるわ」
私の記憶の中のマロンはフワフワとした毛並みとくりくりとした大きな瞳。顔つきもあどけなくて、赤ちゃん赤ちゃんしてたわ。
なのに、今のマロンは毛並みが落ち着いてベルベットのようだし、顔もキリッとした感じで凛々しくなってる。いえ、少しずつ大きくなっていると感じてはいたけれど。
しばらく見ないうちに、お兄さん猫に成長していました。
「マロン、おいで」
リッキー様が呼ぶとマロンは抱っこされましたが、腕からはみ出しています。この前まで手のひらサイズの庇護される小さな子猫だったのに。動物の成長って早いわ。
「フローラちゃん、お久しぶりね。元気になってよかったわ」
マロンの成長にびっくりしている私の目の前で、アンジェラ様から声がかかりました。
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