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「挨拶が遅れてしまい申し訳ございません。今日はどうぞよろしくお願いいたします」
カーテシーをして礼を取った私にアンジェラ様は優しく微笑んでくださいました。
「こちらこそ、フローラちゃんの顔が見れて嬉しいわ。リチャードも楽しみにしていたのよ。今日もよろしくね」
「はい。先日はお見舞いの品を頂戴いたしまして誠にありがとうございます。お心遣い感謝いたします。おかげさまで、すっかり回復いたしました」
「よいのよ。本当はお見舞いに伺いたかったのだけれど、いけなくてごめんなさいね。お見舞いの品だけでもとディアナに頼んだの」
「いえ。そのような……お見舞いの品を頂くだけでももったいなくも有難くて感謝の気持ちでいっぱいです」
王太子妃が一介の侯爵令嬢にお見舞いなんて恐れ多いわ。
「フローラちゃんらしいわね。そんなに畏まらなくてもいいのよ。友達からの贈り物だと思って気軽に構えていてね」
「そんな……」
王太子妃をお友達だなんて思えるわけはないのですが、アンジェラ様の心遣いなのでしょう。
「フローラちゃん、そろそろ始めましょうか? リチャードもフローラちゃんから離れて。マロンもよ」
また私に抱き着いているリッキー様。マロンはリッキー様の肩に乗り私の胸元辺りをスリスリしてました。
「えー」
「ニャー」
不満そうに唇を尖らせるリッキー様とマロン。
同じような仕草にクスクスと笑みが零れます。
アンジェラ様は苦笑を浮かべて、お付きの侍女達はニコニコと笑っていました。暖かな日差しのような穏やかな風景に心が癒されます。
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