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籠いっぱいに盛られたフルーツはさすがに一人では食べきれません。旬を逃してはせっかくの美味しさも半減するということで、みんなで分け合いました。
「そうよね。あの量では一人では無理ですものね。皆さんに楽しんでもらってよかったわ」
ニコニコと微笑むアンジェラ様。
たぶんそんなことも見越して贈って下さったのかしら。アンジェラ様とフェリシア様の気配りに感心してしまいます。
ディアナも。野菜ジュースも同様で一人では飲みきれない量だったわ。みんなに配ったり料理に使用したり。ローズ様の薔薇も、邸に飾りきれなかった分は使用人に分けて、みんな喜んでくれたわ。
幸せのおすそ分け。喜ぶみんなの顔を見て、私も元気をもらったような気がします。
「あら、あら。おねむかしらね」
アンジェラ様が席を立ってリッキー様の下へ向かいました。
おやつを食べてお腹一杯になったら、眠気も襲ってきたのでしょう。コックリ、コックリと船を漕いでいました。
エイブがリッキー様を抱き上げました。
「お願いね」
頭をそっと撫でたアンジェラ様。リッキー様は隣室へと運ばれました。
「ちょっと、はしゃぎ過ぎたのかもしれないわね。フローラちゃんに会えると知ったら大喜びしてたのよ。夕べ興奮してあまり寝ていなかったから、今頃、眠気が出てきたのね」
楽しみにしてくださったのは嬉しい。けれど……
シンとなった部屋の静けさの中で張り詰めた気持ちをほぐすように息を吐きました。
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