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「お休みを長く頂くような者は教師には相応しくないと思ったのです」
「病気は不可抗力よね。予測はできないもの。私事だけれど、これも承知の上ではなかったかしら? フローラちゃんは最初に言っていたものね。忙しいって。それを込みで引き受けてもらっているのだから、全然、問題はないわよ」
「それでは、申し訳なくて」
「フローラちゃん、気楽に考えてもらっていいのよ。正規雇用ではないし、あくまでも臨時。だから、そんなに思いつめることなんてないの。あと、正規だったとしても、事情があればそれも考慮してカリキュラムだって組んでもらうわ。わたくしだって、鬼ではないのよ。安心してちょうだい」
教師の状況を加味して対応する。
そこまで言われてしまっては何も言えません。
「それに、リチャードがとても楽しみにしているのよ。フローラちゃんに会うのを。だから、もう少しつきあってくれないかしら?」
部屋に入ってきたときのリッキー様の喜ぶ姿が思い出されました。
教師失格だと思っていたけれど、こんな私だけれど、リッキー様に必要とされているのなら、まだ頑張ってもいいのかもしれません。
自信を無くしかけた私に一筋の光明が見えたような気がしました。
「はい。ありがとうございます。こんな私でよろしければ今後ともお願いいたします」
「よかったわ」
私の前向きな返事に安堵の息をついたアンジェラ様。
適任者は他にもいるかもしれないけれど、せっかくご縁を頂いたお役は全うしたかったから、切られなくてよかったわ。
あの日のビビアン様の言葉に囚われている自分がいて、なんでも悲観的な気持ちになってしまう。
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